色情をつつしめ

松の内は明けたものの、まだ街中に寿ぎの空気が漂う1月のある日、私は当時つきあっていた彼と、初詣に出かけた。
少し遅い初詣になったのは、年末に喧嘩をしたまま年をまたいでしまったからであって、新年最初のデートだというのに、ぎこちない雰囲気は否めない。

それでも緑多い神社の境内を他の参拝客に混じって歩いていると、何となく華やいだ気分になり、自然と会話も弾んでいった。
お賽銭を投げ、おみくじでも引こうかと、巫女さんにお金を渡す。
先に引いた彼のおみくじを覗いてみると、「足元固めて地道に歩め」とある。

どうやら「大吉」や、「末吉」のようなものではなく、心がけるべき事柄が書いてあるおみくじらしい。
私の引いたくじには、たった一言「色情つつしめ」と。
思い当たる節が無きにしもあらずだったので、思わずううろたえる私。

「なんて書いてあった?」と、尋ねる彼には答えず、急いで境内の木にくじを結び付けてしまった。
その後、幾度かの修羅場を経て彼と別れたのは、ありがたいご忠告に従わなかったからであろうか。

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